「どうしたの?ぼーっとして」
一緒に下校していた春野はるかが話かけてきた。
「べつに」
そっけなくかえした俺は足速になった。
俺は黒龍飛影。春野とは幼稚園からの幼なじみであるとともに家が隣どうしだ。何故考え事をしていたかというと夢のお告げのせいだ。始めはただの夢だと思ったが、1ヶ月近く続いたから信じるしかない。
その夢、には俺とはるかが巨大な何かと戦う場面、龍と俺が戦う場面など戦う夢が続いた。正確にいえば戦う寸前までで夢が終わってしまう。
実は俺は人間ではなく龍人族と言うらしい。しかし見た目は人間となにも変わらない。ただ、身体能力がはるかに高い。だからいつもはちからを抑えなければならない。
「ねぇ、夏休み海でも行かない?」
「俺、泳ぐの嫌いだから」 「去年と同じこと言ってるじゃん。じゃあ、どこ行きたいの」
「じゃあ、旅でもしてみたいなあ」
「じゃあ、行こ」
「冗談だよ」
その時、人混みの中に有り得ないものがいた。
それは俺とはるかしか見えないみたいだ。近づいてくる。横道に入り人のいない場所に出た。
あいつがいた。
鋭い爪ではるかに襲いかかった。俺はとっさに蹴り飛ばした。