碧 9

 2010-01-05投稿
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「あ、」
「?」

香菜がなんか呟いた。

「愛美は休んでたから知らないんだよね」
「何をー?」

ケータイをいじっていた手を止めて香菜を見る。

「今日から新しい店員さんが来るらしいよ」
「へぇー、どんな人だろうね。女?男?」
「男。カッコいいんだってぇ」

そーゆー事か…。

あたしは再びケータイに目を移す。

「ふーん…」
「もー!もっと興味持とうよ!」

あたしの反応に対して香菜はため息まじりで言う。

「だって興味ないし」

またため息が聞こえる。

「ま、愛美にはカッコいい彼氏がいるからしょうがないか…」

「おい、お前ら早くしろー。朝礼始めるぞ」

店長がスタッフルームに入ってきて言う。

「「はーい」」

―――\r
「正月は意外と混むから気を引き締めていけよ。」
「「はい」」

店長の細かい指示が全員に回っていく。

「中村、おまえもう大丈夫なのか?」

店長が思い出したようにあたしに問いかける。
「あ、はい!何日も休んじゃってすいませんでした」
「休んだ分、今年はいっぱい働いてもらうぞー」
「はい!」

そして店長はあたし達がいる左端の方を見て手招きする。
それと同時に店長の元に歩いていくその人。

――あれっ?!

「今日からここで働いてもらう高峰だ。」
「高峰智です。よろしくお願いします。」

その人は軽くお辞儀をした。
その人の顔をよく見る。

「「あ!」」

あたしと高峰さんは目が合ったと同時に叫ぶ。

そうその人は1週間前にデパートでぶつかったあの"イケメン"…。

「え?2人知り合い?」

店長が不思議そうな顔をする。

「はい、この前、「知らないです」

…は?

あたしが言い終わる前にこの前会った事を否定された。

「初めまして」

高峰さんはあたしに軽くお辞儀をする。
少しも笑わないで…。

――何これ…。

あたしはその場に固まったまま高峰さんを見つめる。

「そうか?まあ良いや。伊藤、少しの間、こいつにいろいろ教えてやってくれ」
「はい」

店長は全然不思議に思わない様でまた指示を出していく。

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