デシマエシン?

兼古 朝知  2010-01-05投稿
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「提案したソイツ…
ナマエ何だっけ?
まぁいいか…。ソイツを
凄い目で見てただろ?
アレはよかったなぁ」

あぁ あの時の…
確かに
憎んでいたから、な…。

「それを…
伝えるためだけに、私を
殺さなかったのか?」

「そうだよ」

にっこり笑って、
彼は私の胸ぐらを掴む。

「もう用済みだから…
死んでみる?」

「か、は…!」

息が詰まり、私は
高々と持ち上げる
彼の手を掴む。

「…知ってたさ」

「ん?」

掴む力が弱まった。
私は呻くようにして
言った。

「出島 恵信…オマエ、
名前で人嫌いを
主張してるじゃないか」

「!」

彼は意外そうな顔をする。

「なんだ…
中国人みたいな
名前だって思っただけ
かと思ったんだけど」

「はは。
言えるかよ…友達に。
名前が死んでしまえ
だなんて」

出島 恵信。
デシマエシン。
でしまえしん。
死んでしまえ。

「そう…。友達って
思ってくれてたんだ?」

「なんて目の笑ってない
ヤツだ、とも思ったな」

クックと私が
皮肉っぽく笑うと、
彼もまた笑った。
目は笑っていないが。

「そこまで
気づいてたのに…
何も言わなかったんだ」

「あぁ」

私は笑顔を
保ったままで言った。

「相棒みたいなモンだと
思ってたよ、お前を」

「そりゃあ光栄だよ」

言って、
彼は私の首を締める。

私はもうすぐ事切れる。
何も考えられなくなった
頭で必死に思考して、
私は最期に言った。

「たとえお前…が
人間じゃなくても、な…」

彼を掴む私の手が
だらりとぶら下がった。
首を掴まれている
感覚すら消えた。

薄れていく意識の中で…


「俺が人間じゃない
ことも知ってたのに…
君はそれでも俺を
友達と思って
くれるんだな…」


そう聞こえた。

声が出ない代わりに…
私は笑った。


最期に感じたのは


頬に冷たい水が落ちた
感覚だった。









※何かホラーに
なりませんでしたね?
反省m(_ _)m

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