世界でひとつだけの物語。?

麻呂  2010-01-05投稿
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『はい‥これ‥私からもプレゼント。』


『え!?桃子からのプレゼント!?

嬉しいな。』



これは内緒だけど、


妹に一緒に選んでもらったんだ。



『おっ‥カッコイイ。ベルトだぁ。

ありがとっ桃子!!』



笑顔で子供みたいに無邪気になる彼。



うふふ。



もともと、おめめぱっちりで可愛い顔してるんだぁ。



両手いっぱいのガーベラの花と、



両手いっぱいのあなたの愛。



いっぱいいっぱいもらったから、



思わず涙があふれた。



『どうして泣くの!?桃子‥‥。』



彼が優しく頭をなでてくれる。



『ううん。何でもない。大丈夫だから‥‥‥。』



『泣かないで‥‥桃子‥‥‥。』



優しく、



強く、



抱きしめられた。



そして、



甘い甘いキス。





『実はね、私の目が見えるのは、イブの今日一日だけなの。
明日になれば、また、もとの私に戻ってしまうの。』



私の言葉に、



彼は、それほど驚いた様子もなく、



いつもの様に、



優しく、



落ち着いた口調で言った。



『桃子。“桜梅桃李(オウバイトオリ)って言葉を知ってる!?』



『オウバイトウリ?』



『そう。桜は桜。

梅は梅。桃は桃。

李(スモモ)は李(スモモ)。

どれもみな、美しい花を咲かせる。

それぞれがみな、力いっぱい咲いている。

けれど、桜が梅になる事も、

梅が桃になる事も、
桃が李になる事も出来ない。


これらの花の様に、人間も、ありのまま、自分らしく咲き誇るのが、

もっとも美しいという意味だよ。』



『へぇ‥。そんな意味があるんだぁ。』


『だから桃子も‥‥
目が見えないのは、桃子の個性。

僕が桃子を好きな理由に、

桃子の目が見えるとか、見えないというのは関係ない。

これからも、

桃子が桃子であり続けてくれたら、

僕は、それが一番嬉しい。』



『‥っ‥ひっ‥‥。』



声にならない。



あなたのその言葉が、



あまりにも嬉しくて‥‥



声にならない‥‥。



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