世界でひとつだけの物語。?

麻呂  2010-01-05投稿
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『‥見せて‥‥。

もっと見せて‥‥。
あなたの顔。

忘れない様に‥‥

目に焼き付けておきたいの‥‥。』



両手で彼の顔を引き寄せ、



私は、瞳に記憶させた。



そう、



この人が彼よ。



私の愛する彼よ。



ちゃんと記憶しといてね。



私のナイーブな瞳さん。



『‥‥桃子。なんか恥ずかしいな。

そんなにマジマジと見られたら。』



『いいのっ。』



あと一時間もしたら、



私の目は見えなくなる。



だからお願い。



それまでずっと、



こうしていて――





『気持ちいい‥‥。
桃子の肌。マシュマロみたい。』



『あはは。いやだぁ。

宇野崎さんだって‥‥‥。』



泣きながら見た、



あなたの顔は、



泣いている様に見えた――



彼が泣いている。



なんか不思議。



いつもは強いあなたが、



私のために泣いてくれている――





『僕も昔は目が悪くてね。

小さい頃、養護学校に通っていたよ。

杖を取られて、うろたえて泣いていた。
そんな泣き虫な子供だった。

少し成長してからも、網膜剥離の手術を二回受けているしね。』



『そう‥‥なんだ!?

知らなかった。

ごめんなさい。

私、自分の事ばかりで‥‥‥。』



『ううん。いいんだ。

だから僕も、

目に爆弾を抱えている様なもの。

そして、桃子の気持ちも、少しは分かっているつもりだよ。
これからもずっと‥‥ねっ!!』



『う‥‥んっっ‥ぐすっっ‥‥‥。』



『ほらっ、また泣くぅ〜。』



そう言ってから、



あなたは私を強く抱きしめた――



『愛してるよ‥桃子‥‥。』



『うん‥。私も‥愛してる‥‥。』



こんな素敵な夜を、


大好きなあなたと過ごせるなんて、


私は、



なんて幸せなのでしょう。



目が見えない事を、


コンプレックスに思っていた自分に、



今日でサヨナラしよう。



あなたと出会えて本当によかった。



今、



こうして、心からそう思える自分に、



私は、誇りを持ちたい。



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