京都は幼馴染の家のドアを叩く
京都の説明で怯えている雪野だが、元々成績優秀容姿端麗スポーツ万能の雪野様だ。京都の手を無理矢理引っぺがして逃げようと力の限りを右手に集中させようとしたが…
「んだよ!……あぁ京都か。どうした学校は?」
時すでに遅し、京都の幼馴染の扉は開かれた。扉のところには京都が言っていた通り、目つきが悪く、扉に片手を叩き付けた姿に一瞬(ヤ○ザ!)と、思ってしまった。年は、雪野と京都より二つか三つ年上くらいだろう。眼を除けば結構イケメンだが、普通の人であればみんな怯えてしまう。しかし、京都は幼馴染と言っているだけあって、怖がっている様子は微塵も感じさせなかった。
「いや、ちょっと困ったことが起こってさ。力を貸してくれないか?」
京都は困ったように……いや本当に困っているのだが頭に手をおいて話し始めた。
「困ったこと!?だいたい今はお前は学校だろ!?お前は何度家にこれば気がすむ?ここは休憩所じゃないぞ!」
幼馴染の男は疲れた感じで顔を下に向ける。この会話から何度も京都は学校をサボっているらしい。しかも、よくここで過ごす。「家庭でなにかあったのかな?」と、思っている雪野だったが、次の瞬間にその答えは勝手に出た。
「しかし、いくら朝弱くて先生に朝っぱらから説教されたくないと言って先生が校門を去るまでここで時間潰しすんのはやめてくれ」
降参するかのように男は愕然と肩を落とす。
「まぁまぁ優、今日はさぼりじゃないんだよ」
京都は男の名前を優と呼び、優をなだめようとする。しかし、なだめている最中に京都は後ろから殺気を感じた。さっと後ろを振り向くとそこには現代のメデューサを思わせるかのように、雪野の長く綺麗な黒髪が蛇のように逆立っていたのだ。
「うをぉ!?なんだ?この女!?」
さすがに目つきと態度が悪い優でも多少たじろいてしまったが、それ以上にたじろいていたのが、京都であった。本日二度目の恐怖シリーズである。しかし、何をそんなに怒っているのだろうか?雪野は?
「か〜が〜み〜く〜ん」
だんだんと語尾を上げながら雪野は近づいてきた。近づくにつれて髪の毛と可憐な顔に怒りマークが増えてきた!!