敦士さんが、いじわるタワーズ管理長室前の2体の鬼武士を倒し、ついに、扉を開けた。
だがそこに、いじわる先生はいなかった。
「どうして…。」
ため息をつく良太。
すると向こうに、涼子が倒れているのが見えた。
「涼子!」
涼子はもう、死んでいた。「なんで…。」
優太はその場に崩れ落ちた。
皆、黙っているしかできなかった。
誰も、口を開くことができなかった。
そこに、香山先生が来た。「先生…涼子が…」
良太は悲しそうな顔で告げた。
「それより、幸輔がいないんだ。」
「えっ…?まだトイレから戻ってこないとかそういうんじゃなくてですか?」
優太は走りだしてトイレへと向かった。
「おい!1人では危険だぞ!」
「幸輔。お前…こんなにオレに近づいても生きているとは…。」
幸輔だけ、いじわる先生がこの摩天楼にいるのが分かっていた。
この呪印のおかげで。
「でも…もう終わりだよ。」
幸輔は、もう喋る気力は無かった。
だが、目はずっと、いじわる先生を見ていた。
「オレ…娘がいたんだ。でも…オレはこんなバカな事をしたんだ。」
幸輔の目が穏やかになっていく。
「オレ…計画を中止しようと思う。」
いじわる先生の歩く先には、地上200メートルはあろうか、奈落の底へと誘う摩天楼の端。
「また…いつか会おう…。」
幸輔の目に、いじわる先生が落ちる瞬間が映った。
それからすぐ、呪印による痛みが消えた。
「先生…。」
幸輔はガクンと倒れた。
そして、そのまま気を失った…。