高二の夏。都内の進学高に通うミツオは古めかしいCDショップのホコリっぽい店内で一枚のCDと出会った。CDのタイトルは「勝手にしやがれ」
Sex Pistolsのアルバムだった。
ミツオはなんとなく手にとったその中古で360円のアルバムに心を惹かれ、会計を済ました。
家に帰ってCDをコンポに入れてみる。すぐに曲は流れだした。
まさに衝撃的だった。まだ一曲目を聴いている最中だが、コンポから流れてくる曲、いやむしろ流れてくる音から今時のバンドにはないエネルギーを感じた。
コンポは一曲目を流し終え二曲目に入ろうとした。しかし、ｷｭﾙｷｭﾙというCDをまわす音がするだけで二曲目は流れなかった。
すぐさまミツオはコンポからCDを取り出して確認する。傷だらけだった。よくこんなものを売り物にできるなという位酷い傷だったが、それに対する不満よりもSex Pistolsがミツオに与えた衝撃は大きかった。
この出会いがミツオをバンドの世界へと引きずり込むのだが、この時はそんなことをしるよしもなかった。
〜続く〜
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