優しい風が吹いた。 なんだか少しくすぐったい。 後ろを見ると隼人が座っている。 隣には、犬が。 「その犬、どうしたの?」 桜(さくら)が聞くと隼人は優しい笑みを浮かべた。 「カリン、カリンだよ。」 隼人はマルチーズのカリンを抱きながら言った。 「そろそろいかなきゃ…、大好きだよ、桜…。」 隼人は桜の髪を優しく撫でるとカリンを抱きながら、行ってしまった。 桜は少し嫌な予感がした。 大丈夫、と桜は自分に言い聞かせた。
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