生徒ととの二者面談。
僕の目の前にいたのはクラスで女番長的存在のエリカだった。
脚組みをしてエリカは不服そうに外を眺める。
「早くしてよね、マジで。」
エリカは何故かななと仲が良い生徒だった。
ななみたいに穏やかな性格の子がエリカと仲が良いのはなんとなく不自然な感じがしていた。
他の生徒はエリカを怖がって、エリカには友達がいない。
「澤藤は椎矢と仲が良かったな?アイツに勉強でも教われ。」
「ってかななあたしと同じでバカちんだから。」
「こらこら。」
僕はふと思い出し、エリカにあることを問った。
「椎矢の腕とか・・・脚にある傷は何でなんだ?」
僕はそのとき、何の前兆もなかった。
ただ単にその質問が口から滑り出してきた。
「大人は信じられません。あたしの親もななの親もそうだから。」
「ん?」
「ななんとこ片親でしょ?」
「あぁ・・・。」
「だけどななの父親、新しい彼女家に連れてきてんの、ソイツサイアクで。」
エリカの話はそこで終わった。
「これ以上は言えない。先生のことシンジラレナイから。」
エリカは軽くガンを飛ばすと教室から去って行った。
解らない。
まだこれじゃ、ななのこと。
少なくとも今の彼女に、何か悩みがあるはずだ。
力を貸してあげたい。
出来ることなら力をあげたい。
それは教師としてではなく、
男として。
生徒としてじゃなく、
ななを好きだという。
愛しているという。