神のパシリ 最終話

ディナー  2010-01-08投稿
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何もない一室。

そこに、ただ、
かけている二人。

主と、パシリ。

「…なるほどのぅ。
ともあれ、大儀であったのぅ。

とりあえず光の軍勢は
去ったし、天秤は何も
変わらなんだ。

良くも悪くもな。

だから、おぬしの
今後も変わらずじゃ」

「そうですか。結局、
俺の入れ物、すなわち
躯は『フェルゼル』
には違いなかった。

魂は、既に破壊の神と
契約していて、
主が拾うたのは、
抜け殻たる躯だけ、
だった訳ですな」

「うむ。わらわは、ほんにただその紅い瞳が
気に入っただけよ。
隠し立てしたのも…

…まぁ、戯れよ」

「…ふっ、ややこしい方
ですなぁ、我が主は」

「おぬしも笑って済ませられるようになったか。
変わったのぅ」


「…主よ、私は、
人は神の創ったただの
道具でしかないと
考えていました。

いや、実際そうなのかも
知れない。

それは、神の小間使い
たる我々にしても同じ。





ですが、こう思うのです。



道具である事を、
選択できるのではないかと。

抗う事も、
争う事も、
受け入れる事も実は
できるのではないかと」




「…ほぅ。ゼルは、
どうするのじゃ。

受け入れるか?

自由のために、
自我のために
わらわと、死と争うか?」


「…まさか。

私は死を尊び、
死の小間使いである事は
誇りです。

お陰で、出会いもあり、
だから気付く事もできた。
この指輪にも、
見られていますし。


だから、変わりは
しませんよ」


「…無難なヤツじゃ。
ま、それがおぬしを
生かすのじゃろうのぅ。
正直、わらわも
安心したわ」


「…うらやましいのでは
ないですか?」



「…答えずにおこう。
賢しいのぅ、調子に
乗りおって…」


「いやいや、決して
そんな事は……。


ただ、……主よ……




「………人間も………












なかなか悪くないですよ
………………………」

そう言って、
ゼルは微笑んだ。


−了−



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