「いらっしゃいませー」
今日もbearは満席御礼。
冬休みという事もあり色々な世代の人が来てくれてる。
「高峰さん、これ21番テーブルお願いします!」
「はい」
例の高峰智はというと、新人3日目というのにかなり仕事こなしちゃってます…。
「すごいよねえ、高峰さん」
あたしがボーッと高峰智を見ていたら香菜が近寄ってきた。
「…。」
「何、まだ怒ってんのー?」
香菜が呆れたように言う。
「だって…。」
「まあ確かにここで高峰さんが笑顔で話してるとこなんか見たことないもんね」
「そこの2人!何サボってんだ!」
レジの方から店長があたし達に向かって怒鳴ってきた。
「「はーい」」
「さっきの人超かっこよかったよね!」
あたしがあるテーブルの前を通ったらそこに座っていた女子高生グループの話が聞こえてきた。
「ね!『カッコいいですね』って言ったら超顔赤くしてんの!」
「可愛いなあ」
そんな人bearにいたっけ?
「あ、あたし名前見といた!」
「でかした!」
あたしはその話により耳を傾ける。
「"高峰"って書いてあった」
「高峰さんかあ」
高峰?!
「すごい爽やかだったよね」
「マイナスイオン出てんじゃない?」
「あはは!」
高峰…智…?
「邪魔なんですけど」
急に後ろから声が聞こえてバッと振り向く。
そこには噂の高峰智。
高峰智はおぼんを両手で支えて道をふさいでるあたしを睨み付ける。
「すいません…」
高峰智は何も言わずにあたしの横を通っていった。
「あんな無愛想な男の何が良いのか…」
「…何か?」
高峰智はあたしの視線に気が付きゆっくり振り向いた。
「別に…」
高峰智はあたしの言葉にまた歩いて行った。
でもあたしは思い出した。
―超カッコいい…
―爽やかな青だな…
―笑った顔が可愛い…
初めて会った時あたしもそう思った。
やっぱりどういう事なんだろう…。