何処を見ても
真っ暗闇の中で私は
冷たくなった彼を見つけた
大切な人を失ったのだという
行き場のない思いと
やっと開放されたのだという
「開放感」
がまとわりついて離れなかった
私は開放されたかったのだろうか
彼を愛してはいなかったのだろうか
どこまでも続く思考の闇
晴れることは
もうないのだろうか
それでも…
絶望にも少し似た感情のなかで
何も見えない闇のなかで
いつだってかすかでも見えるのは
彼の笑顔だった
二人で笑いあったあの日には
もう戻れない