今から十分前、優が二人を部屋に入れ外の周囲を注意深く見て警察がいないかを確認していると、そっとと京都が
「すまないが優、風呂を貸してもらっていいか?逃げる際に彼女が生ゴミまみれになったんだ」
「誰のせいですか!?」
京都が優に両手を合わせて頼み込むと、すかさず雪野が殺気立つので京都は雪野を風呂場まで追いやるように案内した。文句の一つでも言おうとしたが、彼女は女の子……これ以上体に生ゴミが付いていることに耐えられないのだろう。入る際に「済みませんお風呂お借りします」と、最後に行ってドアを閉めようとすると
「風呂場に彼女の服があるからそれをとりあえず着とけ」
と、優がぶっきらぼうに言った。悪そうなのは見た目だけで案外結構いいかもしれない。しかし彼女がドアを完全に閉めると優は京都の手を引っ張ってリビングまで連れて行った。
そして、時間は先ほどに戻る。
「いくら優でも、もう一度彼女をその呼び方で呼ぶと許さないぞ!!」
今度は京都が机をたたいた。いつもの京都はそこにはなく真剣そのもの……いや本当に怒っている。面白いキャラの彼は本気で怒っていた。その顔を見た優はいくらなんでも「指名手配犯」など、彼女に対して失礼だと思ったのか「すまない」と、目を閉じて謝った。そして、折れたように肩をすくめて
「んで?俺にどうして欲しいんだ?」
優は京都の急な用事に諦めたのか話を聞く体制に入った
「とりあえず、お前の知識を借りたい」
京都はゆっくりと息を吐き落着きを取り戻そうとする。しかし、珍しく怒ったのか、むせていた。そんな京都を見てお茶を出して「怒り慣れないのなら怒るのをやめろよ」と、笑いながら茶をすすめる。本当に京都は滅多なことでは怒られないみたいだ。しかし、その滅多に怒らない京都が怒ってもすぐに仲直りが出来るのは長い付き合いがあるからなのだろう。京都のむせが治ると
「知識とは?」
と、シリアスに聞いてきた
「あぁ。とりあえず今の俺らの状況を教えてくれ、刑事としての専門的な意見を」
!?刑事?優は大学生のはず。何故刑事の単語が出てくるのだろうか?しかし、その言葉を聞いたとたん優は拳をこめかみに抑えた