人は生き続ける
ベッドシートの海底に
ゆっくり命が降り積もって
少しずつ僕が出来る
天国行きの列車で
そこに着くまでの幾分かの暇を
幾つか恋に充てたりした
季節風の湿り気が
僕の汗と混じって
薄い褐色の肌を伝う
まだ僕がピーターパンの国の真ん中にいた時だった
一つの恋をした
それは赤道の国々の太陽のような身を焦がすものではなく
それは雑念が疾風怒濤の洪水の如く私を飲み込むものではなく
“ただの”恋だった
良く目を凝らさなければ消えてしまいそうな
“ただの”恋だった