カレは私を見て少し驚いていた…。
カレ自身、私がこんなに感情を出すとは思っていなかっただろう。
「…とりあえず、ここで話すのはよそう。君の家に…。」
そう言って、カレは私の手を引っ張る。
はじめて…
カレと手を繋いだ…。
私は、ただ泣くばかりでカレに誘導されながら家に行く。
カレの手はすごく温かく…大きい手…。
どこと無く…心まで温かくなる。
カレが私を好きな理由なんて、もうどうでもいい気がしてきた…。
ただ側にいて…
ただ笑ってくれる…
それだけで理由になる。
私自身、カレに対してそうなんだから…。
家に着くと、いつものようにカレは玄関で立ち止まる。
「入ってよ…話ししようよ…。」
私はカレの裾を引っ張り、涙目で見つめた。
カレは何も言わず、部屋へ入って行った。
コーヒーを入れて、カレに渡す。
しばらく無言でカレの様子を伺った。
「なぁ…。」
先に話しかけてきたのはカレだった。
「…なに?」
私は目を合わさずに返事をする。
「さっきの話しなんだけど…俺はな、君の事を抱きたくない訳じゃないんだ。」
「…もう、いいよ。私も少し感情的になっただけだし。あなたを困らせる事はしたくないし…。そばにいてくれるだけで、充分だから…。」
私は作り笑いをしながらカレを見た。
カレは真剣な表情をして、私を見つめた。
「…嘘じゃないんだ。君を好きな事も。大切なんだよ。」
頬に手を当てて、何度も撫でる。
私は…
やっぱりこの人に…
愛されたい。
そう思ってしまった。
いけない事だとわかっていても…
この人じゃなきゃ…。
「抱いて…。お願い…。」
カレの胸に抱き着いて、私はそう呟いた…。
もう…
この想いは止められない…。