ある愛の表し方・6 木村蜜実

木村蜜実  2010-01-09投稿
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私は仕事を辞めようと思い、辞表を書いてカレに渡した。

カレは驚いて私を会議室へと呼んだ。

「辞めるのか…?辞めなくてもいいだろう?」

「心配してくれなくてもいいよ。私が決めた事だし。大丈夫。」
私は平然を装って、カレにそう言った。

「ごめん。」
1番言ってほしくないセリフをカレは口にする。

「…謝らないでよ。虚しくなる。」
私は『サヨナラ』を言わずに会議室を出て行こうとした。

カレは慌てて私の手を掴んだ。

「離してよ…。もう話す事なんてないでしょ?」
私はまた涙目になり、カレを睨んだ。

カレは私を引っ張り、キツく抱きしめた。

「やだ…やめてよ。」
小声でそう呟くと、さらにきつく…。

「本当に…好きなんだ。でも、このまま続けても、お互いよくないだろう。だから…早くいい人見つけてくれ…。」
最後まで勝手だ…。

男はいつもそうだ…。

勝手に好きになって…
勝手に別れを告げて…

私があなたを忘れるまで…どのくらいの時間が必要になる?

たぶん…
忘れる事なんて出来ない。

私はカレを突き放して、会議室を出た。
そのままトイレに駆け込み…





声を殺して泣いた…。





会社を辞めて、カレと逢わなくなって、1年が過ぎる頃…

新しい恋はしたけど、私にはまだあの人の影が見え隠れしていた。

電話はダメだと言われていたが、電話をしてしまった。

呼び出し音は鳴らず…
使われていない番号になっていた。

少し胸の奥が痛い…。

前の会社の同僚に、カレの事を聞いた。









カレはもう…
いない…。






私と別れ、会社を辞めた後にカレはすぐ会社を辞めていた。

治療をする為に…。

詳しくはわからないけど…

私と別れた後、
病気の為と言って会社を辞めて…

今はどうしてるのかわからない…。

今思えば、カレはたまに病院に行ったり、私といる時も薬をのんでいたりしていた…。

同僚は、また戻ってくるとは言ってる…。

でも、私はもう
カレに逢えない…。

こんなに引きずるなら、会社を辞めなければよかったと後悔した…。








私は…
今でもカレを忘れられずにいる…。







『ある愛の表し方』終



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