平凡・・・(2)

陸部  2006-08-15投稿
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楽しそうに話している美咲。
目の前であんな風にされると逆にこっちの会話が弾まない。

「あのさ・・・」
「あのさ・・・」

麗二と言葉がかぶる。

「いいよ。麗二から。」

こういうとき、二人で「どうぞ」とか言えばドラマっぽくていいのに・・・
麗二はなにも言わずにうなずいてから話した。

「俺、今年の夏が・・・やっぱなんでもネェ。」

意味有り気に話すのをやめる麗二。
あたしは別に深く問うつもりなんてない。面倒なだけだもん。

「・・・」
「・・・」

沈黙が続く。
いつの間にか美咲と啓太が遠くにいた。

「綾乃お!早くぅ!!!!!!!!」

美咲が叫ぶ。
啓太も大きく手を振っている。

特にあたしは啓太と仲の言い訳ではない。
ただ、友達の彼氏というだけだ。
あたしは答えるように手を振ったつもりだったが、あっちには見えていないようだった。

「ばか。もっと大きく手を触れよ。」

そういってあたしの手首をつかんで麗二は大きく横に振った。

あたしの腕はかちこちに固まっていた。こんな風に触れられたことが少ないからだ。約半年付き合っていてもこういうので緊張してしまう。


二人に追いつくと美咲はまた、啓太と話し始めた。

「お熱いこと。」

嫌味半分でそっとつぶやくと、麗二はあたしの手をとって腕を組んだ。

「腕組むのってはじめてじゃね?!」

少し嬉しそうににこっと笑う。
今までそんな事をしたことのなかった麗二がどうして、こんなに積極的になったのか、あたしはあの言いかけた言葉に隠されてると思ったが、聞き出すのがめんどくさくてやめてしまった。

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