-美紗季Side-
せっかく「幼なじみ」から
「彼女」になったのに...
トイレの鏡の前で
自分の顔をみる。
「情けない顔」
そう呟いたら
我慢していた涙が
一気に溢れだした。
「な.ないちゃっ
だっ.だ、めな.のにっ」
ど-して翔が
好きなだけなのに
その想いがあたしを
苦しめるんだろう。
しばらくしたら
涙もかれた。
涙もでないあたし。
あたしにとって翔は
涙さえかれてしまえば
どうって事のない存在
って事なのかな...?
そう思ったら
頭が痛くなった。
激痛と戦うあたし。
その場にしゃがみ込む。
「い.痛いっ」
その時タイミングよく
ドアが開いた。
「ちょっ美紗季!?
ど-したの!?」
さっきまで
外にいたはずの柚果が
そこにはいた。
「あ.頭が、い.痛くて...」
「大丈夫!?
ちょっと我慢しててね。」
柚果はあたしの腕を
ぎゅっ
と掴んで
保健室に運んでくれた。
着くと誰もいない
保健室...
「先生いないね-」
「...うん」
「あ.ごめんっ。
うち1回教室戻るね。
また後で美帆と来るよ!」
ガラガラガラ
そう言って
柚果は出ていった。
あたしだけの保健室。
たまには...
1人の時間だって
必要なのかもね。
そう考えたら
自然と笑みがこぼれた。
-翔Side-
俺の前の席には
いるはずのやつが
いなかった。
ガラガラガラ
小原が1人で
教室に入ってくる。
「小原、ど-したんだ?」
先生が聞く。
「え?あ.え-っと...
美紗季さんが
体調悪そうなので
保健室に連れて
行ってきました。」
え?美紗季が保健室に?
朝は体調悪そうじゃ
なかったのに...
「そうか。
じゃあまた後で
様子を見に行って
やってくれるか?」
「はい。」
俺も気になった。
後で保健室
行ってこよ-っと。
---休み時間
ガラガラガラ
まわりを見渡す。
そして俺は
奥のほうに
カ-テンに囲まれた
ベッドを見つけた。