テーブルに置かれた、
離婚届に名前を記入し、判を押す。
「これで、いいか?」
妻だった女が、不気味に笑う。
「これで、終わりだな」「いいえ、まだよ」
「……ん?」
先程からの違和感に、
ようやく気づく。
この手触り感、
テーブルクロスとは違う
これは…
ああ、カーボン紙か
じゃあ、その下は?
カーボン紙を取り除くと
テーブル全体に、
オカルト的な、図形と絵が描かれていて、それらを囲むように装飾文字が書かれ、テーブル中央に私の名前が、転写されていた。
「これは…」
「フフ、契約完了。」
妻だった女が、後ろを指差す。
振り返ると、
壁から黒い腕が二本延びてきて私の首を掴み、
力の限り絞めていく。
「フフフ、この離婚届は囮。アナタの命を生贄にすると、掛けた保険金はワタシにオリルわけね。」
「…苦し…い」
「証拠はノコラナイ。
全部処理してクレルもの
ワタシは、お金しか愛さナイノ。」
その時に、
ニタニタ笑って通帳を見ていたのは、
本当に、私の妻だった女なのか?
それとも…