ゴールへの葛藤 PART3 完結

フェリス  2010-01-12投稿
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康太は全身に力が湧いてきた。とその時、前方に先程、追い越された30代前半のヒョロっとしたランナーが見え始めた。どうやらバテテきたみたいだ。よぉし、今度はさっきやられた分、俺がやり返してやろう。康太はジワジワとそのランナーに詰め寄り、追い越した。どうだ、ヒョロヒョロの兄さんよ。最後には最初に力を温存した奴が勝つのよ。お前の事、忘れないよ。お前は今大会で最も俺の闘争心に火をつけたライバルだからな。お互いあとゴールまで少しだ頑張ろうぜ。

それから少し経ち、ついにゴールが見えた。おぉあれがゴールかぁ。もう俺のスタミナは限界に近いがあそこまでなら行けるぜ。俺に残された力よ、最後にその力で栄光を手にしてやる。そして一歩一歩ゴールへ近づき、ゴールラインをまたいだ。

彼はハァハァと息が荒れ狂い心臓の鼓動がドクドクと物凄い脈を打っていた。やったぜ、ゴールだ。ついにあの緊張感から始まった苦痛に終を告げたんだ。俺は走り切った。ここは天国だ。ゴールの先は天国だ。マラソンはこの歓喜の喜びを味わう為の下準備なんだ。これで俺はカレーライスを腹いっぱい食べてエクザイルの歌をカラオケで歌えて、チワワのコロンとじゃれあいて、詩織とデートもでき、ハネムーンにはタヒチの綺麗な海に見守られながら水上コテージでゆったりする事もできる。マラソンがこんなにもスゴイものとは思わなかった。俺は何てツイてるんだろう。この喜びは絶対にあの折り返し地点のおっさんには分からない。この喜びは俺らランナーにしか味わえない最高の喜びなんだ。

完結。

私はマラソンも人生も同じようなものだと思われる。人生もマラソンのように最後までやり通せば最後に待っているのは天国かもしれない。

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