「あゆ!」
「なっちゃん!K大推薦合格おめでと!」
なっちゃんは一足先に
大学合格を決めていた。
私はというと…
トリマーの専門学校の入試を控えていた。
「あゆ…ごめん。こんな時にこんなこと言いたくないんだけど…」
「なぁに?」
「変な噂を聞いたから…あゆが心配で」
「噂?何の?」
「…桐島さんの」
「カズ?」
なっちゃんは私を教室の端に連れていった。
「…桐島さん、ビアンだって聞いたの」
「…びあん?びあんって何?」
「レスビアン。同姓愛者ってことだよ」
「?それがどうかした?」
「…あゆ、知ってたの?」
「ううん。カズが女の子が好きなの知らなかった」
なっちゃんは神妙な顔をして私を見つめた。
「…あゆ、今度はあんたが狙われてるんじゃないかと思って…心配になったの」
「カズとは友達だよ。それに別にカズがレズビアンだろうが、何だろうがカズはカズだもん」
「……そう」
なっちゃんは腑に落ちないといった表情だった。
続く