「中村、休憩入って良いぞー」
「はーい」
あたしは店長の言葉に素直に休憩に入る事にした。
高峰智の衝撃?現場を目撃してから2日。
これと行ってbearに変化は無かった。
「香菜はもう休憩かな?」
さっきから香菜の姿が見えずに見えずにいた。
あたしはそう思いながらスタッフルームの扉のドアノブに手をかけた。
「あたしはただ…っ」
え…?
香菜の涙混じりの声が中から聞こえてきた。
「はぁ」
そう思った瞬間誰かのため息。
「そういうのウザイんですけど。俺の事何も知らないくせに」
何これ…?
「…っ…すいませんでした…っ」
あたしはドアノブをつかんだまま立ち尽くしていると勝手にドアノブが開いた。
「「あ…」」
ばっちり香菜と目が合ってしまった。
香菜の目には涙が溜まってる…。
「ごめん!」
「香菜!」
香菜はそのまま走って行ってしまった。
香菜を泣かした人間はもうアイツしかいない。
あたしは開いているスタッフルームの扉を抜けて中に入る。
「高峰さん」
高峰智はスタッフルームの長椅子に座っていた。
あたしの言葉に反応して顔を上げる。
「今、香菜と何話してたんですか…?」
「別に。中村さんには関係ないです」
冷たく言い放つ。
「っ、関係なくない!親友泣かされて黙ってろって言うほうが無理!」
つい大きい声を出してしまった。
「はあ。めんどくさ。友情ごっこ?」
「な…?!」
またため息を吐かれ挙げ句の果てにあり得ない言葉まで浴びせられた。
「なんか、『何か悩んでる事あるなら相談してください』って。ホント俺の事知らないくせに…だから『おせっかい』って言ったんです」
「ふざけないでよ…高峰さん最低だよ!…香菜がどんな想いで高峰さんに…っ」
「別に頼んでないんですけど。てかあなたまで泣くんですか?」
あたしは悔しくて涙が溢れそうだった。
「泣いてない!」
あたしは思い切り涙を拭う。
「女ってみんなそう。泣けばいいなんてものじゃないですよね?朝倉さんといい、中村さんといい…いい迷惑なんですけど」
―パンッ…
あたしは彼が言い終わるか終わらないかくらいに彼の頬を思い切り叩いた。
「最低…」
あたしは間違えてないよね…?
あたしのやっている事はおかしい…?
でも許せないよ。
あたしは逃げないよ。
―お母さん…。