人の心をあらわす真実の泉に手をひたした時、
その手が赤く染まったらどうしよう。
傷ついていたらどうしよう。
傷つけてしまっていたらどうしよう。
そんな臆病に振り回されて、私は時々動揺している。
手前勝手な考えだ。
自分が嫌われるのが怖くて、きっと本当はただそれだけ。
わかっていても、怖いものは怖かった。
人の心はいつでも闇に包まれていて、
滅多に本心には触れられないから。
想像して、推測して、慮って、
そうやって付き合っていくしかないんだろう。
だけどやっぱり悲しくて、
自分の鏡を探している。
探らなくても許される相手を。
語らなくても信じてくれる相手を。
面倒くさがりの私だから、
そんな風に楽をすることばかり考えている。
だけどそうしてばかりもいられないから、
やっぱりまずは自分から信じなきゃいけないんだろう
……なんて、わかったふりをしてうそぶいてみたり。
結局、居心地のいい巣を探しているだけなんだ。
さながらヤドカリのように。
でも固い殻にこもったら、人の心はますます遠ざかるのではないだろうか?