世界でひとつだけの物語。?

麻呂  2010-01-14投稿
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『ねぇ‥お母さん。』



『なぁに?桃子?』


『私ね、彼に会いに行く時、人の優しさを見たの。』



『まぁ?どんな?』


『杖をついて歩いているお婆さんに、

優しく手を差し伸べている若者がいたんだ。』



『まぁ。素敵なお話ね。』



『その時私思ったの。

あぁ、この世もまだまだ捨てたもんじゃないって。』



『そうね。』



『お母さん‥私、

生きて行く勇気が湧いて来た。』



『そう。よかった。
お母さんは、桃子の笑顔が増えた事が一番嬉しい。』





彼に会いに行く時に見た、



人の優しさ――



あぁ、この世も捨てたもんじゃないって思った。



それは、



小さな頃、



心無い人の中傷の言葉、



好奇の目に傷つき、


悩んだり、



泣いたりしていた自分が、



見落としていたモノ――



私自身、



今まで全く気づいていなかったモノ――


けれど、



やっと今、



分かりました。



親切な人だって、



たくさんいるんだって事――



それを教えてくれたあなた、



そして、



神さまありがとう。


たった一日だったけれど、



私の夢を叶えてくださったのは、



今思うと、



それに気づかせてくれるためだったのかなって思う。





『ねぇ‥お母さん‥‥‥。』



『なぁに?』



『私を産んでくれてありがとう‥‥。』


『桃子っっ‥‥。』




窓の外は雪。



思わず窓を開けて空を見上げた。



あなたを乗せた飛行機は、



もう飛び立ったのかな。



宇野崎さん。



あなたと過ごした素敵な夜を、



私は一生忘れません。



私の体の細胞のひとつひとつが、



あなたの温もりを覚えているから。



生きてく強さと生きる希望を胸に抱き、


私はこれから歩いて行きます――










☆END☆





†この物語を、原作者である桃子さんへ捧げます†

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