長い沈黙を破って
最初に口を開いたのは
美紗季だった。
「...あのさ...ご」
でも俺はその言葉を
遮るように言った。
「さっき...なんで
1人で先行ったの?」
「え?それは...」
黙り込む美紗季。
頼むから
理由があるなら
早く言ってくれよ...。
俺の心はすぐにでも
はり裂けそうだった。
--美紗季Side--
あたしはなかなか
口を開けなかった。
翔にあたしの気持ちを
今伝えちゃったら
あたし達の関係が
崩れるんじゃないかって
でも勇気を振り絞って
口を開いた。
「...あのさ...ご」
でも翔は
あたしの言葉を
遮るように言った。
「さっき...なんで
1人で先行ったの?」
やっぱり...
怒ってるのかな?
「え?それは...」
これって
ほんとの気持ちを
伝えるべきなのかな...?
しばらくあたしは
考えていた。
自分にとっても
翔にとっても
何が1番いいのか。
ようやく答えが
見つかった。
やっぱり...言おう。
「あたしね」
翔はあたしの目を
じっと見つめる。
ドクン
あたしは胸の高鳴りを
必死に押さえた。
「あたしね、さっき
あの子達に本当の事を
言おうとしたんだ」
「...うん」
「何言われてもね?
翔の事大好きだから
大丈夫だなって
自分の中で決めたの」
「...うん」
「でもね...っ!」
「っ!」
あたしは涙を
隠しきれなかった。
「翔がう.嘘をついたから
そ.その事であたしは
逆につ.辛くなったのっ...」
「...な、んで?」
翔にはまだ分からない。
あたしの気持ちが。
涙を力付くでとめ
しっかりとした口調で
話をした。
「翔からしたらあたしを
守るためについた
嘘なのかもしんないけど
あたしはそうは
受けとれない...。
「あたしが思ってるだけ」
なのかもしれない。
でも、やっぱり...」
「やっぱり...?」
「あたしは彼女として
ほんとに認められた訳
じゃあないんだよ...」
「な.何言ってんの?」