「そんでその彼とは１ヶ月以上会ってないんだ？」
たまの休みも暇で恵理の家に遊びに来ていた
「そーなの…なんか、こんな気持ちでいるのは自分だけなのかも、向うは何とも思ってないのかも、とか考えちゃって」
「ふーん、大丈夫なの？その男！」私はその時なんの気なしに本棚に目を向けた「凄い本の量ね、何読んでんの？なになに、鮎川潤一？」「しらないの？有名作家よ！見て、鮎川潤一が雑誌に載ってるから買ったわ」そこに写ってる中年男性に目をやってみると、そこにはベストセラー作家の鮎川潤一が今度出す待望の新作(運命の螺旋)と載っていた。なんで！内容紹介もまるで聡の書いた原稿と同じだ！
「どうかした？」「ごめん恵理、あたし会いに行ってくる」奈緒美はすぐに飛び出して電話をかけた、留守電に変わりメッセージを残した
「聡？どうして出てくれないの？私に何か隠してない？私もうダメかも」泣きそうになった。今まで聡はなぜ私に取材と偽り近づいたのか…ただ言えることはひとつ「ダマサレテイタ…」奈緒美はただ歩き続け自分は会いに行きたくても家も知らず、聡の事を何も知らなかった。一人で浮かれてバカみたい、奈緒美は涙が止まらなかった。
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