せかいは、おもっていたよりざんこくでした。
ただ、あいしただけだったんです。
ただ、それだけだったんです。
それを、せかいのことわりがひていした。
それだけです。
わたしは、せかいにきょぜつされたんです。
ぽっかりとこころにあいたあなは、どんなものでもうめることはできませんでした。
だって、それをうめてくれるのは、あのひとだけだったからです。
あのひとをうしなったわたしは、どうじにひかりをなくしました。
あのひとが、わたしのすくいだったからです。
やがて、あたしはわたしをきょぜつするようになりました。
あのひとをあいそうとするわたしを。
あのひとのしあわせをねがったあたしは、わたしをふうじこめました。
あのひとをしあわせにするなら、わたしのしあわせをすてなければいけなかったからです。
わたしのしあわせは、あのひとをあいすることでした。
わたしがねがった、さいだいのしあわせは、あのひとにあいされることでした。
だから、あたしは、あのひとをあいそうとするわたしと、じぶんのしあわせをすてました。
こころは、がらんとくうきょになりました。
せかいとあなたは、
おもっていたよりざんこくでした。
小公女襲名。
〜Roman de Princesse
おひめさまって、どんなもの?
おひめさまの条件ってなに?
――その結論が「常識」なら、あたしは無視する。
だから、あたしの考え。
ひとつめ。
他人を、許すこと。
けど、如何しても許せない奴は赦さないからそれは例外。
ふたつめ。
傅く人達が居ること。
だってその方が楽しいから。
みっつめ。
おうじさまが居ること。
傍に居てくれなくていい、遠くでもいいから。
だって、おひめさまの危機にはすぐ駆け付けてくれるでしょ?