｢じゃあ今日は付き合ってくれてありがとね｣
｢いえ、あたしも楽しかったです｣
一馬さんは予定があると言って１時間ほどうどん屋で話てから別れることになった。
｢送ってあげられないけど…またあのお店に遊びに行くよ｣
｢はい！待ってますね｣
あたし達は手を振って別れた。
その時、ふとさっきの言葉が頭をよぎった。
―アイツにもいろいろあるんだよ…
｢一馬さん！｣
あたしは無意識に振り向いて一馬さんを呼び止めてしまった。
一馬さんはあたしの言葉に振り向いた。
｢あの…｣
あたしは呼び止めたは良いものの何を言って良いか分からずどもる。
｢…高峰智に…彼に何が、あったんですか…？あたし知りたいんです！同じ職場で働いてるのに、一人だけ壁があって…｣
一馬さんはあたしが急に大きな声を出したから驚いた顔をしてる。
あたし最近大声出し過ぎてる気がする…
それでもあたしの口は止まらなかった。
｢大好きなあのお店で、お互い辛い思いしたくないんです！｣
｢…｣
｢あの人が何を抱えてるか分かんないけど、でもそれじゃダメだと思うんです！｣
一馬さんは何か考えるような表情になっている。
｢お願いします！一馬さん…｣
一馬さんはあたしの言葉に悲しく笑った…。
｢ごめんね…愛美ちゃん…この話は俺が勝手にしていい内容じゃないから…｣
あたしは一馬さんの言葉に終始落ち込み顔を伏せる。
｢でも！｣
一馬さんの声にあたしは再び顔を上げる。
｢今の愛美ちゃんの気持ち、智に伝えてみなよ。きっと智にも伝わるよ。｣
｢一馬さん…｣
一馬さんはさっきとは違って明るい表情になった。
｢俺、愛美ちゃんと智って相性良い気がする！｣
一馬さんは笑顔だった。
そして再びあたしに手を振り背を向けて歩き出した。
｢それはさすがにないですよ…｣
あたしの独り言は暗い空に消えていった―…。
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