「あのー、高峰さん…」
「…」
また無視か…
「あはは!愛美フラれちゃってるねー」
香菜が横からちょっかいを出してくる。
「はぁ…」
さっきからため息しか出てこない…。
―智に自分の気持ち伝えてみなよ
一馬さんにそう言われて休憩時間を見計らって高峰さんに話を聞こうとしてるんだけど、スルーされてばっか…。
まあ、香菜が泣かされた事件から少し気まずい空気もあったり…なかったり…。
「はぁ…」
「そんなため息ばっかついてたら幸せ逃げちゃうよー」
「…」
あたしは香菜から逃げるようにスタッフルームを出る。
―あ…
レジに着いていた高峰智がお客相手に笑ってる―…
その様子を少し遠くから見る。
「あんな笑顔、あたし達にもしてくれればいいのに…」
すると高峰智はお客がお店から出ると、レジを離れ厨房の方へ向かって行った。
あたしもそれを追い掛ける様に厨房に向かった。
「高峰さん…」
高峰智はあたしが来たことに気付いてまたあたしから離れようとする。
「待って!」
高峰智はあたしの言葉に足を止めた。
「この間は…ぶっちゃってごめんなさい」
「…別に、ああいうの慣れてますから」
そう言って高峰智は厨房から出ていってしまった―…。