《実は、来月あたりから夜勤も入るかもしれないんだ。》
そのメールを見た瞬間、私は凍りついた。
もちろん、夜勤があることを知らなかったわけではない。
だが、心のどこかで、しばらくは夜勤がないと信じこんでいたのだ。
《そっかぁ…。大変だね。》
私は当たり障りのない文章を返した。
《うん(汗) しかも、昼間も多分働くことになると思う。》
《じゃあ、休み全然ないじゃん。これからあんまり会えなくなるね。》
《う・うん》
ここまできて、サイの様子がおかしい事に気がついた。
《どうしたの? 何かあった?》
《別に何もないよ(汗)》
《嘘だぁ。さっきから何か変だよ。》
《本心を言わない人には自分も同じようにする主義なんで(笑)》
つまり、サイに私の本心を見抜かれていたのだ。
夜勤でしばらく会えなくなり、寂しいと感じてること。
でもそれは、どうしようもないと分かってること。
本音を、きちんとサイに話した。
《じゃあ何? 俺に仕事すんなって言ってんの?》
《だから、仕方ないって分かってるよ。でも嫌なものはしょうがないじゃん。私だって人間だよ? 不満や文句の一つや二つ、あってもおかしくないでしょ?》
こんな感じで、私達二人の間の空気は段々悪くなっていった。
別にどちらかが悪いわけではない。
ただ、何となく突っ掛かってしまったのだ。
――そしてこれは、喧嘩の幕開けに過ぎなかった。