【夢くい】15

豚姫  2006-08-17投稿
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笑い声が止んだと思うと、いきなり真後ろから声がした。シキは振り向けず固まっていた。ふと、地面を見ると自分の影の上にもう二周りほどある影が被さっている。

「あ・・あなた・・誰??」
やっとの思いで震える声を出した。
「クスクス・・そうですね。皆は黒猫と呼びます」
「黒・・猫??」
「ええ。たまに可愛すぎて似合わないと言われますけど」
「・・そう、分かったわ。じゃあ黒猫・・私に何の用??」
「用などありませんよ・・ただ、貴方からヒシヒシと伝わって来たんですよ。「強くなりたい」ってね」
「あなたには関係の無い事じゃない??」
「クスクス・・そうですね。でも、個人的に貴方を気に入りました」
「・・何が目的!!??」
「やはり信用はしてもらえませんか・・。とりあえず顔ぐらい見てもらえませんか??」
シキはいきなり後ろから腕を掴まれて後ろを向かされた。
「キャッ!!・・・・・綺麗・・」
シキは振り向き黒猫を見ると目を見開いた。そこには黒いマントをはおり黒く腰まである髪を後ろで一つに結び月の逆光をうけながら立つ一人の男がいた。逆光で顔はよく見えなかった。
「この隠れ家は不思議ですね」
「えっ??」
「隠れ家の中はずっと明るいのにこの森にだけ夜が来る」
「本当だ。・・えっ!!??」
男はシキに向かって手を差し出した。
「な・・に・・・??」
「一緒に来ませんか??」
「私が??」
「ええ、私と一緒に来ませんか??」
「・・どうして??私は普通の人間。力も無いし弱い。ただのお荷物だわ」
「なら私が貴方に力を与えます。例え貴方が強くても・・例え貴方が弱くても・・私には貴方が必要なんです」
「私なんかを必要としてくれるの??」
「・・元々私は貴方では無い人に会う為に来ました。でも、貴方を一目見て気が変わった。だから「私なんかを・・」だ何て言わないでください。・・名前は??」
「シキです」
黒猫はもう一度シキに手を差し出した。
「そうですか。シキ・・私と一緒に行きましょう。私の本当の名はキラ」
「・・キラ・・」
シキはそっとキラの手に自分の手を重ねた。キラがマントでシキを包むと、強い風が2人を包みしばらくすると風と共に消えた。



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