転んだ
すりむいて赤みを帯びたひざに
血がにじんだ
貴方は私が転んだのを
良い事に
時々、後ろを振り返りながら走って逃げていった
昨日まで
私の側にあった
あの、優しい目は…
あの、厚い唇は…
あの、長い指は…
何に吸収されていったの?
もう
貴方に嫌われているのは分かっているわ
だから
追いかけないわよ
だからお願い
せめて
走らないで
貴方を
目に焼きつけたい