まだ桜の花びらが散っていた頃
私はまだ言葉を知らなくて
あなたの言葉を聞き取ることが
出来なかった
理解することが
出来なかった
あなたの発する
悲痛な叫びも
喜びも
感じ取ることが出来なかったんだ
きっとあなたにとって
私は
ただのイラつかせる存在でしかなかったかもしれない
私のあの頃の感情表現は
泣くことでしかなくて
そんなことでしかあなたを呼べなくて
分かってあげられなかった
あなたがどんなにつらいことがあって
悲しんでいることが
分かってあげられなかった
あなたがどんなに誰かを
憎んでいるか
分かってあげられなかった
だから教えて
たとえどんなに残酷で
悲痛でもかまわない
あなたが言いたいことを
私に教えて
私がそんなことを
しなくても
私が「言葉」という
魔法を教わったとき
あなたをたくさん
助けるから
愛するから
だから待ってて
お母さん