温かな母の母胎から、出でし時分より
まるで格子窓から垣間見る望月の如く、かの世は
甚だあぢきなくて
しかしながら、それでいて
なんとも乙なものでもある。
そんな取り留めのない事で、物思いに耽って、右手のキセルを一吹き。
そぞろに流れる時の連鎖も、今生きている世も、全てが仮初めならば
それもまた滑稽なり。
嗚呼、欠けたる処のない満月は、
全てを存じておられるのだろうか。
そうだとすれば、その満月はきっと誰よりも虚しいのであろう。