光の中から現れたのは、ローブを身に纏った一人の男だった。
聖職者が着る法衣のようなローブで、それはフードが付いており、その時は目深に被っていたために顔は見えずにいた。
「誰だ、君たちは」
ローブを着た男がリュート達に向かって言った。
しかしリュート達は警戒しているのか、無言でただ睨みつけるだけだった。
「ひょっとしたら君たちは、イルザリアンの生徒たちか?」
「え?」
ローブを着た男が少し柔らかめな言葉だったためか、一番後ろにいたオヨが前に出て質問をした。
「はい。僕たちはイルザリアンの生徒です。あなたもユーリッドの人ですか?こんな所で何を?」
ローブの男も安心したのか、はぁー、と溜め息を吐いて。
「やっぱりそうか、学校の制服を着ているからそうじゃないかと思った。なぜここにいるか?ここがどこか知っているだろう。危険がないか見張ったり、君たちみたいに勝手に入ってくる者がいないか、森の外から監視してるんだよ。」
「そ、そうなんですか」
辺りから光が消え、再び森の中は闇に包まれた。
「それで?ここで何をしてたんだ?」
「いやぁ、それはですね」
気まずくなり困ったオヨは、リュートの方を見て助けを求めた。
しかしオヨとは違い、まだこの男をリュートは信用してはいなかった。
「森を監視していたんですか?」
リュートはまっすぐローブの男を見ていた。
「ああ、そうだが。」
「嘘だ。」
「嘘?嘘って何がだ。」
「あなた、さっき森の外から監視していると言っていた。ならなぜ森の中から現れたんですか?来る方向がおかしい。」
男は少しの沈黙の後、その顔に不敵な笑みを浮かべていた。