雪野は優の怖さよりも、雪野がもともとの性格の正義感が駆り立てて勇気を振り絞り優に状況を聞いた。雪野の正義感は学校中の人が知っている。
武勇伝の一つとして雪野の正義感で知立高校の不良十五人を一人で更生させた話がある。
まぁそれはおいといて京都に聞きかなかったのは笑って過ごされると思ったからだ。雪野は震える手を必死に抑えている姿を見た優は鼻で笑い先ほどの会話を簡潔にして話した。
その話を聞いた雪野はだんだん顔色が悪くなった。
「つまり、今のあんたには悪いが指名手配されている以上あんたは犯罪者ってことだよ。そしてそのあんたに協力しているそこの生意気な高校生はこれ以上あんたに加担すると【共犯者】として一生レッテルを貼られて生きていくハメになるんだ。そして俺は、今こいつにこれ以上協力するのか?恐怖に怯えながらも協力するのか?と聞いたんだ」
優は左肘を机に乗せてギロリとまた京都の方を向いていた。事の一部始終を知った雪野は唇を震わせながらも何とか……
「鏡君!もういい!私のことはもういいから!………ほら!あなたがそこまで危険を冒さなくても私は………私には家族がいるから大丈夫よ。私のパパやママは私のことを絶対に理解してくれるはず」
と、京都の肩を掴んで泣きながら頼み、他の策を思いつきで言う。彼女はもともと人を喜ばせたいと思っても人を不幸にはしたくない。絵にかいたような優等生なのだ。ましてや同じクラスでも、席が近くてもあんまり話したことがない人を自分のせいで不幸にしてしまうなんて優等生の彼女には耐えられないのだ。
それに家族のことを思い出したら彼女は安心した気になったが優と京都がすぐに打ち消した。
「家族だと!?」
優が鼻で笑った。それに雪野は腹をたてて反論しようとしたが
「雪野さん……もう手遅れだよ」
京都も残念そうにつぶやいた。
「えっ?どういう意味?」
雪野は最悪のパターンが一瞬脳裏をよぎったので、すぐに打ち消そうとしたが、その前に優が遮った。