忘れもしない、私たちの卒業式。
私は、この日を一生
忘れないと思う。
「あゆ、よかったね。来月からはトリマーの卵か」
「うん!ありがとう♪」
私は専門学校に合格した。もちろん松浦さんも。
「…あゆ、これ」
「カズが最後だったね」
カズから交換日記を受け取り、私は笑顔を見せた。
ページをめくろうとすると、カズが私の手を押さえた。
「あゆ、家に帰ってから読んでくれる?」
「?。うん」
「あゆはこれから映画部の仲間とごはん?」
「うん♪カズは?」
「私も陸部のやつと…」
「そっかぁ。…カズ、
また連絡するから!卒業してもまた遊ぼうね」
「…あゆ」
その瞬間、カズは私を優しく抱きしめた。
「カ…カズ?」
カズは私から体をゆっくり放すと、今にも泣き出しそうな、でも優しい笑顔で…
「あゆ、ありがとうね」
そう言うと、カズは教室を出ていった。
私は何か大事な事を、
大事なことを見落としている気がして…
胸が苦しくなった。
カズから渡された交換日記…
最後のページをめくった。
続く