不器用にしか人を愛せない君
今初めて本当の君を見た気がした
誰も傷付けないように生きてきた
いつも誰かに気を遣って
自分だけが傷付けばいいんだと
君はそんなふうに思っているかもしれないけどそれは大きな勘違いだよ
一つの恋が終わる時
誰かが傷付くんだ
『そんなんじゃなかったんだけど』と懸命に傷を隠そうと笑う君
分かってたじゃないか始めから
君もそして僕も
覚えてる?
僕が君に聞いたこと
君がそれに答えたこと
『あいつが好きなんだろ』と聞いたとき君はすぐに首を横に振って『そんなわけないじゃん』と言った
分かってたよ
君は笑顔を崩さなかったけどその目の奥にある嘘を
わずかに唇を噛んだ君の仕草に隠しきれない動揺があったことを
その時僕は君に振られた
好きな人がいるとは君は言わなかった
君なりの気遣いだったのかもしれないけれど
僕はその理由を見抜いていたよ
『あいつに彼女が出来た』
僕が告げた
僕だって考えた
仕方なかった
本人から聞けば君はどうなってしまう
想像するのが嫌で辛くて
だから僕から言うことにした
僕なりの優しさだったけど君にとっては誰の口からであっても残酷な結末だったに違いない
『良かったね』
また笑おうとする君に
『無理するなよ』と強く言った
自分だけ傷付いたような顔するなよ
僕だって傷付いた
君の気遣いに
君の優しさに
君の強がりに
君の不器用さに
僕がどれだけ傷付いたか
君は肩を震わせ泣いた
僕には何もしてあげられない
君の恋の結末を伝えることしか
だから泣きたいだけ泣けよ
今日は誰かを気遣うことなく自分の正直な気持ちを出してさ
『彼が幸せなら』何て綺麗事は言うなよ
でも今日の君はそんなことは一切言わなかった
ただ落ちる涙を何度も拭いながらまた涙を流した
本当は脆く弱い君が切なくて僕は優しく言った
『ずっと好きだったんだろ』
『ずっとあの人が好きだった』
君の声に迷いのない君の答えを聞いた
だから僕も吹っ切れた
あの時に聞けなかった理由
今君の口から聞けた
今からは自分の思うように生きてみろよ
前に進むために
そしてそんな君を僕はいつまでも見守ってるから