君を乗せて走るのは初めてでハンドルを握る手に力が入る
いつもより安全運転をしている自分が何だか笑えた
子供のようにはしゃぐ君がたまらなく可愛かった
僕を気遣って何度も『疲れてない?』と君は聞いた
そんなに遠出でもないのに
そんな君の優しさが嬉しかった
『大丈夫だよ』君が一緒なら
初めて見る景色に君は感動し
そんな君を見て僕は感動した
正直景色なんて見てなかった
君が僕の景色の一部になって君が僕の目に映っていることがただ嬉しかった
窓を開けて楽しそうに鼻歌を歌う
君の横顔
君の匂い
このまま連れ去ってしまえたら
車の中でかけてくれた君の好きな曲
君らしい選曲
きっと僕の好きな曲になる
君と見た景色
きっと忘れられない思い出になる
君が小さな欠伸をした
『寝てていいよ』と言うと『大丈夫』と涙目で言った
そのやり取りが何だか嬉しくて恥ずかしくなった
正直な気持ちを言えば少し君の寝顔を見てみたかった
そのあとも君は色んな話をしてくれたね
相変わらず僕を気遣って
少し疲れたのかたまに沈黙もあったけど
僕にはその沈黙さえも幸せだった
君との時間は楽しくて早過ぎて
僕は時計ばかり見ていた
終わりの時間なんて来なければいい
沈黙の中
そんなことを考えてしまう
目の前に続く長い道
どこまでも君と走って行けたら