one 〜3

K  2010-01-24投稿
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赤みがかった空はだんだん色を失っていく。

音楽の流れていないイヤホン ―他人に話しかけられたとき聞こえないふりをする為僕はいつもそうしていた,初めのうちは音楽もちゃんと流していたのだが最近ではそれすらわずらわしく感じた― を耳にかけ,ぼんやりと歩く。

仕事が終わり家族の待つ家へと向かう車がせわしなく道路を駆け抜ける。

僕の空っぽの心はその車たちに何度も吹き飛ばされそうになった。

いっそ死んでしまいたい。

日々の生活になんの意味もみいだせず,生きていること自体が苦しみだと感じるのだ。

人は言うだろう,海の向こうでは必至に生きたくて,もがいて,でも誰にも知られることなく死んでいく人がいっぱいいるのだ,と。

だからそう考えることは裕福者の罪なのだ,と。

僕に言わせてみればそんなの偏見だ。

彼らの考えは勝手に生と死のうち生のほうが勝るものだと判断した結果にすぎない。

そして僕はふと,少し遠くから走ってくるトラックに目をむけた。

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