涙道 3 〜ヤミ金の襲来〜

るー6  2010-01-24投稿
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放課後、2人は工場の前を通った。すると、
「お疲れさまです。」
あの少年が、まだ働いていた。
「オレ、行くわ。」
正也はそそくさと帰っていった。どうやら用があるらしい。
光太も、帰ることにした。
「ただいま。」
「あら。おかえりなさい」光太の母、和江は典型的なマダム。そう、光太の家は超お金持ち。駅前の超高層マンションの最上階が光太の家だ。
「ちょっと今日も、勉強忙しいので…」
「そうですか。分かりました。」
光太は適当な理由を言って部屋に入ると、ため息をついた。あの少年の事で複雑になる気持ち。なんとか救ってやりたい。
また明日、休みだから工場へ行ってみよう。光太は決心した。
一方、
「ただいま。」
元気の家は、工場の近くの古びたアパート。
「おかえり。お兄ちゃん。」
愛くるしい顔の陽菜。元気の妹で小学1年生。
この顔を見ると、疲れが一気に取れるような気がする。
「お母さんに、薬は飲ませた?」
「うん。」
「じゃあ兄ちゃん、メシ作るからな。待ってろよ。」「分かった。」
お母さんは、お父さんの交通事故を境に、変わってしまった。
今あるのは、元気からみると、本当のお母さんじゃなくなってしまった。
包丁を握る手が震える。
元気は、この2人を守っていかなくてはならない。
「お兄ちゃんまだ〜?」
「あっ、まだ下ごしらえだから。」
「私も手伝う。」
陽菜は台所へ入った。
「じゃ、冷蔵庫から卵とって。」
「はーい。」
陽菜は冷蔵庫を開け、卵をそっと持ってきた。
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
するとその時、玄関を激しくたたく音が響いた。
「お兄ちゃん…。」
陽菜は元気の足に抱きついた。
「陽菜。押し入れに隠れて。」
「はい…。」
陽菜は急いで押し入れに隠れる。
元気はすぐお母さんの和子をかばう態勢に入る。
「この家の鍵は持ってんだよ!」
大きな叫びとともに、中に入ってきた男たち。
「早く金返せ!」
これは、父が借金してた所がヤミ金で、そのツケが遺族に回ってきたのだ。
「利子はもういくら付いてんだっけ?」
元気の給料ではとてもヤミ金への支払いにまで手に回らない。生活するのがやっとなんだから。
「なぁ…そろそろ払ってくれよ!」



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