私は変態じみた男か変態にしか好かれないのだろうか?
悲しくて言葉にならない。
月曜に藤堂を見ながら思った。今考えてみると、この男がもう少しマトモなら今関に近寄られることもなかった。
あのハゲ男のどこが良かったのだろう?心を許したのにはいくらか理由もあるはず。
紳士的な態度?
結局、戦略的なスケベだっただけ。
一回りの歳の差?
何より四十代が性処理に困るはず。
結論は私がご都合主義に走ったということ。
警戒して然るべきの状態で抜けてた。
別に男が怖いとまでは思わないが、取り敢えず今は全ての男の生殖器をチェーンソーで切ってやりたい気持ちだ。少しは楽になると思う。
辛い。
悔しい。
こんな想いに悩まされること自体が疎ましい。
なんだったら、こんなことを考える頭を体から切り離したい。
「イナカに帰ろかな・・・」
文書作成中にエンターキーを押しまくっている自分に気付くと凄く嫌な気分になった。
気が病んではいるけど、私は悪くない。
レイプ犯が隣に住んでる。気が狂うのも当然。隣の男を殺害したい。これも至極当然の考え。
警察に届け出ようかと考えてもそれはそれで嫌だ。彼氏が居なくとも嫌なものは嫌だ。異常なのはこれだ。
誰にも知られなければ、と思う。
たぶん、これがダメなんだ。戦わなければいけない。都合良くはいかないんだ。泣き寝入りだけはゴメンだ。
だから今日は帰りに警察に行って被害届を出す。
・・・と具体的に考えるとまた躊躇してしまう。
退社時までに考えはまとまらなかった。
そして、社外には今関が立っていた。
「クソが・・・」
頭の中で相手をなじっても、膝が震えていた。
社内に走り込もうと思っても無理だ。座り込みたいほど足に力が入らない。怖い。
今関が近付く。
ダメだ。
最悪、殺される。
「大丈夫ですか?」
今関が目の前で発する。「ダイジョブじゃねーよ。ハゲが!」
もちろん、それも言葉にならない。
「帰りましょ・・・ねっ」
嘆願する今関は私の背中を押した。
もう吐きそうだった。
私はまたバカをやった。
そもそも会社に出たのが間違いだった。
恐怖に震えながら今関に言われるがまま歩き出した。
つづく・・・