《本心を言い合えないような仲なら…俺の言いたい事分かってるよね。》
このメールが届いた瞬間、私は驚いて声が出なかった。
サイの言いたい事は分かった。
その話は、前々からずっとしていたからだ。
――《お互いに本心はちゃんと言おうな。我慢してもいい事ないしさっ。》
――《分かってるよ。私も、素直になれるように頑張るからさ。》
――《本心が言えないで、ずっと我慢してたらお互い憎しみあって終わっちゃうじゃん。俺はハルとは、そういう風にして終わらせたくないからさっ。》
――《私もだよ。お互いに気を使わないでいこうね。》
いつかのメールが、脳内に蘇った。
でも私は、本心をさらけ出すのに、どうしても抵抗を感じ、素直になりたい、もっと本心を伝えたいと思っても、うまく言葉が出てこないのだ。
その度にサイに指摘され、直そうとし、うまくいなかくて自己嫌悪に陥るという事を繰り返していた。
サイが、私のこの状態をどれだけ分かっていてくれたのかは分からない。
…彼に聞くだけの勇気は、私には無かった。
《素直になれるように頑張ったつもりだったけど、無駄だったみたいね。》
《まっ急にやれって言われても出来ませんしね。》
サイの答えは冷たいものだった。
彼の言ってる事は正しい。
でも、私だって…。
《…こんなんだから、私は嫌われるんだよね。馬鹿みたい。》
《またそうやって自分が嫌われてるって言う。俺はさっきハルの本心が聞けて良かったと思っているよ。だってそれは聞かなきゃ駄目な事じゃん。》
メールを見た時、私はベッドの中で泣き出した。
サイからこんな言葉を聞けるなんて思っていなかったからだ。
聞かなきゃ良かった、ハルなんかいなきゃ良かったと言われるのが怖くて、心を開けなかった。
そして、その考えは幻だと知った。