《…正直に話したら、毎日同じ事言うよ?寂しいって、会いたいってさ。無理だって、分かってるのにね…。》
《じゃあ言わないで一人で辛くなってる?》
《…素直に、言う…。》
《結局そうなるんだから、最初から正直に自分の気持ちを話した方がいいんですっ。でも、ハルが言いたくないならいいけど。》
最後はサイのいつもの台詞だ。
何だかんだ言って彼は、人の事を考えてくれている。
その優しさが、彼の魅力なのだ。
《言うと思った。…ごめんなさい、素直じゃなくて。》
《そう思うなら言うな。このお馬鹿さん。》
《どうせ私は馬鹿ですよ。でも、サイよりは馬鹿じゃない自信がある。》
《うるせぇ〜…。このハゲっ。》
こんな調子で、喧嘩をしているのかしていないのかよく分からないまま、この日のメールは終わった。
その後数日間の、サイからのメールは素っ気なかった。
いつもなら2〜3行以上で、絵文字を使ってくれるのに、今は1行だけが多く、文章はほとんど真っ黒だった、
そして、私は毎日泣いた。
サイを想う度に、メールを読み返す度に、涙が溢れた。
私には、サイが何をしたいのか、分からなかった。
でも、この痛みは誰とも分かち合わなかった。
サイが私の立場なら、きっとそうしただろうから。
そして、私は一つの決心をする。
《今度の日曜日って暇?》
《まぁ、今のところ予定はないけど?》
《サイのところに会いに行ってもいい?》
《まっ、それは構わないけどさ。》
メールを見て、私は思わず大声で喜びそうになった。
断られるかと思っていたからだ。
そして、その日の夜、私は色々と悩んだ。
もしサイが私の事を嫌いになっていたら、もし冷たくされたら、もし…。
メールが素っ気なくなった理由が喧嘩にあると思っていた私は、そうやって考えていく内に、いつの間にか眠りの世界に入っていった。