「じゃあ2本目、いくか。」
「や、やだよぉ〜。ねぇ、サイ。もういいじゃんかぁ。」
今にも泣き出しそうな顔をしてサイを見つめる私。
サイは目をそらし、満面の笑みを浮かべてDVDを入れかえている。
「大丈夫だって。今度は前に行けっ。」
にっこり笑ってとんでもない事を言う。
私を殺す気ですか、この人は。
「サイの馬鹿。鬼。」
そうやってぶつぶつ文句を言っていると、サイがコタツに入って後ろから優しく抱きしめた。
「きゃっ。…サイ?」
私の横顔に顔をのせてくる。
サイの温もりが、心地いい。
私は何とも言えない安心感に包まれた。
…DVDが始まるまでは。
「…さて、俺は寝っから。後は一人で見てな。こっち来る時はそれを止めて来てね。」
突然そんな事を言われたので、私はびっくりして何も言えなくなってしまった。
一人でホラー系を見れないのは話してあったのに…。
そんなこんなで10分後、私はついにDVDを見ていられなくなり、サイの眠っている部屋に入っていった。
「…眠っているの?」
小さな声で呟く。
サイの目がパチッと開く。
「…起きてたんだ。」
「寝れるわけねーべ。隣がうるさくて。」
ニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべるサイ。
私はぷっと頬を膨らませて、サイの隣に座った。
「…寒いなら入ればいいべ。」
私の袖を軽く引っ張って布団の中に入れようとする。
そんなサイが可愛くて、微笑みを浮かべて私は中に入った。
「何をしたらこんなに冷たくなるのや。」
ぎゅっと少し強い力で抱きしめられる。
私の目にはサイの顔が間近に映った。
「…冷え症なんでね。」
そう言って、私も少し力を入れてサイを抱きしめ返す。
Chu...
甘い音が、狭い和室に響いた。