「お前らさっき警察官と出くわしたみたいだったな」
「……そうだけど」
雪野は少し思い出したくない(ポリバケツ)の事を思い出したが肯定すると
「その時警官が出した写真は、ごく最近家族と写った写真だったじゃないか?」
そこまで言うと雪野はハッとした。先程警官が出した写真は、確か先月家族でバーベキューに行った時の写真であった。バーベキューには家族だけで行ったので家族以外の人が持っているわけがない。それを結びつけると
「警察はもう家に行っている。そしてお前の家族は警察に手助けをしているってわけだ」
雪野が考えをまとめる前に優が結論を言った。そのことを聞くと雪野は絶望したかのように膝を床につけて涙を今度は自分に向けて流した。「なんで、パパとママは私を信じてくれないの?」と、泣きながら呟いた。しかし、京都はそんな雪野を見て
「なぁ優…確かに怖い……青山さん並みに手が震えていることは認める……だが、俺は昔から言っているよな?自分の言ったことは絶対に曲げないって?」
京都は優のガン飛ばしを物ともせずに俯いていた顔をあげてニヤリと優と向かって笑った。その不敵な笑みに雪野は涙が止まってしまった。そして優と三十秒近くにらめっこしていると「もうどうなっても知らないからな!!」と、言って両手を上げ降参ポーズをとってせんべいを一枚取る。そして、「お前もどうだ?」と、言ってせんべいを差し出された雪野。雪野は何がどうなっているのか分からなかったが優の目が怖くて反論できずにせんべいを受け取ってしまう
「(あっおいしい。どこのだろう?)」
と、おもってしまう雪野であった。本当に危機感がたまに簡単になくなってしまう人だ。
「あんた、いい奴が味方になったな」
と、せんべいに浸っている雪野に優が初めてやさしい笑顔を見せた。その笑顔で雪野は初めて優との壁を一歩越えたような気がした。