第5章 驚愕
「おはよう。」
怜がいつものように廊下と接している席から声をかける。
「おはよう、れい。いつも早いな。」
現在の時刻は8時25分、いつも学校に着く時間より少し遅い。
「かい君が遅いんだよ。俺は10分にはもう着いてるからね。」
怜が壁にもたれ掛かって自慢げに言った。
「れいは真面目だな。」
俺がかばんを下ろし腕を組み言う。
「遅刻したら大幅減点だからね。そう言えばかい君、規律読んだ?」
怜は微笑み、そして聞き返してきた。
「えっ!?……昨日、ゲームしてたからすっかり忘れてた。」
「それまずいよ。とにかく、今日はおとなしくすることだね。」
「ああ、そうするよ……」
”キーンコーン……”
チャイムが鳴る。皆が一斉に急いで席に座る。すると同時に宮垣先生が入って来た。この8時30分からの5分間は朝礼を行い、一日の連絡等を行う時間だ。宮垣先生は挨拶をし、今日一日の連絡をし、生徒達にUSBを配った。俺はUSBのことをすっかり忘れていたのではっとした。USBを配り終わると、宮垣先生は教室から出て行った。
そしてしばらくするとチャイムが鳴った。すると知らない先生が入って来て、教卓の前に立つ。
「Everyone stand up!」
生徒達はいきなりの先生の声に驚き、ゆっくり立ち上がる。
「Hurry up!」
先生が急かすように叫ぶ。生徒達はすぐに立ち上がった。
「OK! Good morning!」
「Good morning…」
半分くらいの生徒が小さな声で囁くように言った。
「One more! Good morning!!」
先生は怒るように言った。
「Good morning!」
大きくはないが皆が声を揃えて言った。
「Good! Sit down,please.」
先生の声で皆が座る。みんなが座ったことを確認して話しだした。
「はい、よろしい。これからの挨拶はこのように行うので、覚えておくよう。」
一瞬の静寂の後、すぐに先生は話し出した。
「まぁ、最初だから自己紹介しておこうか。私の名前だが、松葉靖之といいます。よろしく。」
松葉先生が簡単に自己紹介を済ませた。