大勢の人が行き交う町中を、一人の少年が歩いていた。
「やっぱ町は凄いなあ…」
少年はキョロキョロと辺りを見回しながら、ため息を吐いた。
「おっと、ここだ」
「ワイズ」という看板が掲げられた店の前に立って、少年はゴクリと唾を飲み込んだ。
―賞金稼ぎとしての第一歩を踏み出すんだ!やるぞ!
少年は意を決したように大きく頷くと、店の扉を開けて中に入った。
店の中では屈強な男たちが、壁に貼られた賞金首の絵を食い入るように見つめていた。
「二千ガリオンか…いただきだな」
「五千ガリオンか…ちょっと厳しいか」
賞金額を眺めながらある者は首を捻り、ある者は大きく頷いていた。
その雰囲気に圧倒され、少年は顔をひきつらせながら、傍にあった椅子に小さくなって座っていた。
「ボウズ、どうした?」
ハーテンダーのような服を着た男が心配そうな表情で、少年に話しかけてきた。
「いえ…あの、賞金稼ぎになりたくて来たんですけど…」
少年は遠慮がちに答えた。
「ほお、そうかい。ならこっちに来なよ」
男はカウンターまで手招きして、中に入って行った。
「え…あの…」
「おお、言ってなかったな。俺はこの店の店主ライアン・ワイズだ。よろしくな」