足速に高峰智は歩いていった。
「ちょっと待ってよ…」
あたしは人込みに1人入っていった高峰智に追い付こうと必死にあとを追う。
しかしたくさんの人でなかなかそばによる事が出来なかった。
「待ちなさいよ、高峰智!」
あたしの声は人込みに消えていった。
―やば…
そう思った時にはもう前に高峰智はいなかった。
「嘘…どうしよ…」
もう7時。
辺りは真っ暗でここがどこかすらも分からなかった。
「迷子…?」
あたしはその場に立ち尽くした。
「携帯…」
そうだ、携帯!
あたしは高峰智の電話番号を知らなかったので、香菜に電話をかける。
―プルルル…
早く出てー…
―プツ、ツーツーツー…
…は?
切れた。
繋がって数秒で切れた。
なんで?!
―その頃―\r
「あれ?電話は?」
「あー、良いんです良いんです!」
今愛美から電話が来たけどわざと切った。
だって邪魔しちゃ悪いしね?
あー、香菜ちゃんてば、なんて優しいんでしょう!